
全豪オープンテニスの概要と特徴、歴史が知りたいな。
真夏のメルボルンで開催されるテニスの祭典、全豪オープンテニス。
世界中のテニスファンに注目されるグランドスラム (4大大会)の1つですね。
この記事では、全豪オープンを楽しむために、概要や特徴・歴史などを総合的にまとめています。
読んでいただければ、以下の情報がわかります。
- 全豪オープンの概要と特徴、歴史。
- 過去10年の優勝者などのデータ。
- 全豪オープン2021で活躍が期待される日本人選手一覧と過去の成績。
全豪オープン2021の詳しい放送・配信日程は以下の記事を参照してください。
⇒【WTA女子テニス】最新の放送日程・ツアースケジュール一覧

それでは早速、見ていこう!
全豪オープンとは
テニス界で最も重要とされているグランドスラム(4大大会ともいわれる)の1つに数えられる大会です。
なかでも全豪オープンはもっともカジュアルでフランクな雰囲気のなか行われる大会。
現地に観戦に行く日本人が多いことでも知られています。
大会名 | 全豪オープン(Australian Open) |
開催地 | メルボルン・パーク(オーストラリア・メルボルン) |
日本との時差 | 2時間日本が遅れている |
日本での地上波放送 | NHK |
日本での衛星放送 | WOWOW |
使用コート面数 | 26面 |
センターコート | ロッド・レーバー・アリーナ |
開催時期 | 毎年1月中旬または下旬の月曜日から約2週間 |
歴史 | 1905年に男子シングルス・男子ダブルスの2部門で創設。1969年にオープン化 |
サーフェス(コートの床面素材) | ハードコート |
部門 | 男子シングルス 男子ダブルス 女子シングルス 女子ダブルス 混合ダブルス 車椅子テニス |
ドロー(トーナメントの規模および出場者数) | 128名 |
優勝賞金(2019年度。各シングルス) | 412万豪ドル(約2億7000万円) |
4つの特徴
全豪オープンの4つの特徴を解説します。
1つ目の特徴は「ハードコート」です。
ハードコートにもいくつか種類がありますが、2020年からプレクシクッションという種類からグリーンセットという種類に変更になりました。
グリーンセットは
- ATPファイナルズ
- リオオリンピック
- パリ・マスターズ
という大きな大会で使用されている実績があります。
プレクシクッションとグリーンセット、どちらも球足が速いコートといわれますが、一般的にはプレクシクッションのほうが速いといわれます。
ちなみにグランドスラムで同じくハードコートを採用している全米オープンのコート面はデコターフと呼ばれる柔らかめのもので、上の2つに比べると若干球足は遅くなります。
2つ目の特徴が「気温の高さ」。
メルボルンの気候は温帯性気候といって、日本のように四季がはっきり分かれているのが特徴です。
特に、暑さと寒さが極端で、全豪オープンが開催される1月の平均気温は25℃を超えて日本の猛暑なみの暑さになります。
最高気温が40度を超えることも珍しくなく、夜でも30度を超えることもあるんですね。
これをうけて全豪オープンには「エクストリーム・ヒート・ポリシー」という独自ルールがあります。
これは、気温が40度を超えるか、超えてなくても気温や湿度を考慮して試合の続行が厳しいと判断されたら、一時的に試合を中断するというルール。
こういう判断を下すために、気象庁から専門家にも来てもらっているそう。
また、会場には大型の扇風機をいくつも用意するなど、観客にも熱中症対策を強く喚起しています。
3つ目の特徴は「ボールが良く跳ね、球足が速い」です。
上述したとおり全豪オープンはグランドスラムでもっとも硬いサーフェス(コート面)で試合をします。
そのためボールが良く跳ねて、スピートも落ちません。
これはビッグサーバータイプや、パワーのある選手が有利なことを物語っています。
また、サーフェスが硬いことは体にかかる負担が大きいことも意味します。
暑さと負担の大きさという2つの要素と選手は戦う必要があるわけですね。
4つ目の特徴は「日本人選手と相性がいい」です。
全豪オープンはグランドスラムのなかでは日本人選手の出場数が多いといわれ、また好成績が残しやすい舞台ともいわれます。
例えば、日本の男女両エースである錦織圭・大坂なおみはともに全豪オープンで比較的良い成績を残しています。(錦織はベスト8を4度、大坂は優勝)
2020年の男子シングルスでは西岡良仁が3回戦まで進出し、話題になりました。
また出場した男女7人のうち、5人が2回戦に進出し、全豪オープンと日本人選手の相性の良さを証明する結果になっています。
選手だけでなく、観戦する側にも全豪オープンは日本人向けといえます。
まず時差が2時間と少ない点。
このおかげでテレビ観戦もしやすく、現地に応援に行く時も、体力を消耗しにくいです。
さらに日本人は蒸し暑さに慣れているので、他国の人よりかは観戦しやすいという側面もあります。
全豪オープンの歴史
全豪オープンテニスの歴史は100年以上も前にさかのぼります。
全豪オープンの第1回が行われたのは1905年。その際はニュージーランドとの共同開催で「オーストラレージアン・テニス選手権」という名前で開催された。その後、1922年に女子選手の参加が認められ、27年には大会名を「オーストラリア選手権」へと変更。第二次世界大戦期間中の中断を経て、1969年にオープン化。「全豪オープン」として開催されるようになった。
第1回が開催された1905年は、元号でいうと明治38年。
日露戦争が開戦した年ですね。
そんなに昔から続いているとは驚きです。
ただこれでもグランドスラムのなかでは全豪オープンが一番歴史が新しいんですよ。
最初はニュージーランドとの共催だったというのも興味深いですね。
ちなみに、ニュージーランド人と日本人のハーフであるマクラクラン勉(ベン)選手いわく、現在のニュージーランドではテニスはあまり人気スポーツとはいえないそうです。
オーストラリアではサッカー、バスケ、クリケット、ネットボールの次に人気の団体スポーツがテニスです。
1972年からはメルボルンでの開催が続いているが、それまではシドニー(17回)やアデレード(14回)、ブリスベン(7回)、パース(3回)など、オーストラリア国内の様々な都市で開催されていた。
引用元:WOWOW Tennis online
かれこれ50年近くもメルボルンで開催されているんですね。
上の引用文に出てきた都市の共通点は、すべて南よりの都市ということ。
どの都市も観光地としても有名なところばかりです。
気候でいうと、ブリスベンだけは亜熱帯性気候ですが、そのほかの都市はすべて温帯性気候です。
オーストラリアは、北に行けば行くほど赤道に近づくために、暑くなります。そのために南の都市で開催しているのでしょう。
全豪オープンの歴史は暑さとの戦いの歴史ともいえるかもしれません。
全豪オープンの歴代優勝者
1969年のオープン化(プロ選手の参加が許可された)移行の記録で集計。
選手 | 回数 | |
1位 | ノバク・ジョコビッチ | 8 |
2位 | ロジャー・フェデラー | 6 |
3位 | ジャック・クロフォード | 4 |
3位 | ケン・ローズウォール | 4 |
3位 | アンドレ・アガシ | 4 |
全豪オープンの強者といえばジョコビッチですね。堂々の8回優勝。
ジョコビッチのグランドスラム通算の優勝回数は17回です。
つまり、17回の半分近くの8回をこの全豪オープンで成し遂げているわけです。
グランドスラムの同一大会での優勝回数記録としては、ナダルの全仏オープン優勝12回に次ぐ、2番目の記録ですね。
ここ10年の全豪オープンの関心事は「いかにして他の選手がジョコビッチを攻略するか」だったといっても過言ではないですね。
選手 | 回数 | |
1位 | セリーナ・ウィリアムズ | 7 |
2位 | マーガレット・スミスコート | 4 |
2位 | イボンヌ・グーラゴング・コーリー | 4 |
2位 | シュテフィ・グラフ | 4 |
2位 | モニカ・セレシュ | 4 |
1位は7回優勝のセリーナ・ウィリアムズ。
セリーナはウィンブルドンでも7回の優勝記録を持っています。
ちなみに姉のビーナスと組んだダブルスでも、この全豪オープンで4回の優勝を誇っています。
2位は同率で4名ですね。
マーガレット・スミスコートは、オーストラリアの選手。
オープン化直後の1969年から1973年のあいだに4回の優勝を数えました。
1970年には年間グランドスラム(1年間に開催される4つのグランドスラムすべてに優勝すること)を達成したレジェンドプレーヤーでもあります。
イボンヌ・グーラゴング・コーリー もまたオーストラリアの選手です。
1974年に全豪オープン初優勝。その後1977年までの4回優勝を記録。
マーガレット・スミスコートと入れ替わるように次の時代を築いた選手です。
シュティ・グラフは1980年代後半から1990年代前半にかけて最盛期を迎えたドイツの選手です。
グランドスラムで苦手な大会がなく、バランスよく優勝回数を重ねたオールラウンドプレイヤー。
アンドレ・アガシと結婚したことでも有名ですね。
モニカ・セレシュは1990年代前半に絶頂期を迎えた選手。
グランドスラムの成績は、この全豪オープンの4回優勝が最多ですね。
もともとセルビア国籍の選手で、1994年にアメリカ国籍に変更。
現役引退するとWOWOWとアンバサダー契約し、コラム執筆などの活動もされています。
次に過去10年という区切りで優勝者と準優勝者をまとめました。
近年強いのは誰かがわかると思います。
優勝 | 準優勝 | |
2011 | ノバク・ジョコビッチ | アンディ・マリー |
2012 | ノバク・ジョコビッチ | ラファエル・ナダル |
2013 | ノバク・ジョコビッチ | アンディ・マリー |
2014 | スタニスラス・ワウリンカ | ラファエル・ナダル |
2015 | ノバク・ジョコビッチ | アンディ・マリー |
2016 | ノバク・ジョコビッチ | アンディ・マリー |
2017 | ロジャー・フェデラー | ラファエル・ナダル |
2018 | ロジャー・フェデラー | マリン・チリッチ |
2019 | ノバク・ジョコビッチ | ラファエル・ナダル |
2020 | ノバク・ジョコビッチ | ドミニク・ティエム |
ジョコビッチは8回の優勝のうち7回を直近10年のあいだに成し遂げています。
6回優勝しているフェデラーは直近10年で2回しか優勝していません。
つまり、直近10年でフェデラーからジョコビッチに全豪オープンの覇権が移ったといってもいいでしょう。
過去10年でジョコビッチとフェデラー以外の優勝者が1人しかいないのも驚くべき事実です。
最近、男子テニス界の世代交代を希望する声をよく聞きますが、こういう記録を見ていると、それも頷ける気がしますね。
優勝 | 準優勝 | |
2011 | キム・クライシュテルス | 李娜 |
2012 | ビクトリア・アザレンカ | マリア・シャラポワ |
2013 | ビクトリア・アザレンカ | 李娜 |
2014 | 李娜 | ドミニカ・チブルコバ |
2015 | セリーナ・ウィリアムズ | マリア・シャラポワ |
2016 | アンゲリク・ケルバー | セリーナ・ウィリアムズ |
2017 | セリーナ・ウィリアムズ | セリーナ・ウィリアムズ |
2018 | キャロライン・ウォズニアッキ | シモナ・ハレプ |
2019 | 大坂なおみ | ペトラ・クビトバ |
2020 | ソフィア・ケニン | ガルビネ・ムグルサ |
女子シングルスは男子に比べて、優勝者がばらついている傾向があります。
2000年〜2010年はセリーナ・ウィリアムズが5回の優勝を誇り、飛び抜けた存在だったのですが、2010年以降は若手が頻繁に出てきて優勝しているような印象がありますね。
日本の大坂なおみ選手もその一人です。
今後セリーナのように全豪オープンで時代を築く選手が出てくるか注目ですね。
近年のシングルスベスト8
ここで、全豪オープンの近年のベスト8を見てみましょう。
男子 シングルス |
2020 | 2019 |
---|---|---|
優勝 | ノバク・ジョコビッチ | ノバク・ジョコビッチ |
準優勝 | ドミニク・ティエム | ラファエル・ナダル |
ベスト4 | ロジャー・フェデラー | ステファノス・チチパス |
ベスト4 | アレクサンダー・ズベレフ | リュカ・プイユ |
ベスト8 | ラファエル・ナダル | 錦織圭 |
ベスト8 | スタン・ワウリンカ | ミロシュ・ラオニッチ |
ベスト8 | テニーズ・サングレン | ロベルト・バウティスタ・アグート |
ベスト8 | ミロシュ・ラオニッチ | フランシス・ティアフォー |
2021大会でも優勝に一番近いのは、全豪オープンの最多優勝記録保持者(8度)でもあるジョコビッチでしょう。
2020大会でも鉄壁のディフェンス、ミスの少なさ、完璧なショットセレクションと負ける要素がほぼ見えないテニスを披露しました。
現在32歳ですが、まだまだ陰りは見えませんね。
3連覇が期待されます。
ジョコビッチ以外では実績十分のフェデラー、勢いのあるティエムも優勝候補といえます。
この分だとまだまだベテランが上位から退くのは時間がかかりそうですね。
続いて女子です。
女子 シングルス |
2020 | 2019 |
---|---|---|
優勝 | ソフィア・ケニン | 大坂なおみ |
準優勝 | ガルビネ・ムグルサ | ペトラ・クビトバ |
ベスト4 | シモナ・ハレプ | カロリナ・プリスコバ |
ベスト4 | アシュリー・バーティ | ダニエル・コリンズ |
ベスト8 | アナスタシア・パブリュチェンコワ | セリーナ・ウィリアムズ |
ベスト8 | アネット・コンタベイト | エリナ・スビトリナ |
ベスト8 | オンス・ジャバー | アシュリー・バーティ |
ベスト8 | ペトラ・クビトバ | アナスタシア・パブリュチェンコワ |
2020年はアメリカの期待の若手ソフィア・ケニンがグランドスラム初優勝。
過去に全仏・ウィンブルドンで優勝しているスペインのムグルサに勝利しての優勝はセンセーショナルでした。
男子に比べて上位入賞者がいれかわっている女子は、優勝予想が難しい傾向にあります。
シード上位選手が4回戦までに負けてしまうことが珍しくありません。
そんななかでも、ハレプ、クビトバ、バーティは安定して上位に入賞してくる印象です。
2017年以降、グランドスラム優勝から遠ざかっているセリーナ・ウィリアムズも、全豪オープンはもっとも得意としています。
優勝候補の1人といえますね。
全豪オープン2021で注目すべき日本人選手
全豪オープン2021の出場が予想される日本人選手と、過去の最高成績をまとめました。
まずは男子です。
選手名 | 年齢 (2020年4月現在) |
過去の最高成績 |
---|---|---|
錦織 圭 | 30歳 | ベスト8 (2012・2015・2016・2019) |
西岡 良仁 | 24歳 | 3回戦進出 (2020) |
伊藤 竜馬 | 31歳 | 2回戦進出 (2012・2013・2020) |
杉田 祐一 | 31歳 | 2回戦進出 (2018・2020) |
ダニエル太郎 | 27歳 | 2回戦進出 (2019) |
内山 靖崇 | 27歳 | 1回戦敗退 (2020) |
錦織の最高成績はベスト8で、通算4回。
同時にこれはオープン化以降の日本人男子の最高成績です。
4回もベスト8に進出して1度もベスト4に手が届かないというのは、本当に惜しいですよね。
それだけ日本人男子にとって全豪オープンのベスト4の壁は厚いのかもしれません。
2020年は西岡が3回戦に進出し、明るいニュースになりましたね。
まだ24歳と若いですから、これからベスト8以上の活躍も十分ありえます。
2021年以降も期待しましょう!
選手名 | 年齢 (2020年4月現在) |
過去の最高成績 |
---|---|---|
大坂 なおみ | 22歳 | 優勝 (2019) |
日比野 菜緒 | 25歳 | 1回戦敗退(2016・2017・2018) ※ダブルスでは3回戦進出(2019) |
土居 美咲 | 28歳 | 2回戦進出(2013) |
女子の注目選手の筆頭は、大坂なおみでしょう。
2019年は、日本人初の全豪オープン優勝に日本中が湧きましたね。
2020年は連覇が期待されましたが、3回戦でコリ・ガウフに破れました。
チャンピオンに返り咲く日を期待して待ちましょう。
女子は男子に比べて出場者数が少なく寂しい面もありますね。
だからこそ、出場した選手には惜しみない声援を送るべきだと思います。
灼熱のメルボルンで戦う日本人選手全員に期待しましょう!
まとめ
最後にこの記事の要点をまとめておきます。
- 全豪オープン2021は新型コロナウイルスの影響で開催が不透明。
- 全豪オープンの特徴は以下の4つ。
・ハードコート(種類はグリーンセット)
・気温の高さ。
・ボールがよく跳ねて、球足が速い。
・日本人選手と相性が良い。 - 全豪オープンは1905年創設と歴史ある大会。
それでもグランドスラムのなかではもっとも新しい。 - 歴代の最多優勝者は、男子はジョコビッチで女子はセリーナ・ウィリアムズ。
- 日本人の歴代最高成績は、男子が錦織のベスト8で女子が大坂なおみの優勝。

全豪オープンは日本人選手が一番活躍しやすい大会。みんなで応援しよう!
以上、ここまで読んでいただき感謝です。
全豪オープン2021で繰り広げられる熱い戦いを見届けましょう!
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